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2020/04/30

辛抱

4月27日
58日目
1日おきの洗濯物受け渡し29回目。

病棟の看護責任者のOさんに版画「こもれび]とポストカードを渡す。
「患者さんにも見えるところに」と。
病棟に入れるようになったら作者Mさんと見たい。

Oさん「覚悟を決めました」。


4月29日
60日目
1日おきの洗濯物受け渡し30回目。

昨日、面会制限期間の延長が公表された。
5月31日。

祝日のだれもいないロビーで、
ぽつんと連絡ノートを書く。

エレベーターのところに、2階のSさんの姿が見えた。
すこし話をする。
Sさんは7月29日、第1回のブログに登場する。

転院初日、角質でばりばりだった足のウラを何度も足湯をしながらつるつるにしてくれた。
車いすに乗せ、外の空気を吸わせてくれたり、
「だんじょーさーん、目をあけてー」とがんがん揺らして、
「あきらめないからねー」と声かけをして、
積極的なリハビリをおこなってくれた。

4階に移ってからも、2階のリハ室に行ったときに
「だんじょーさーん」と声をかけて揺らしてくれる。

Sさんはひとりで、中学生の子ども2人を育てているそうだ。
休校が続くなか「欲求不満のかたまり」のような子どもたちが家にいる。
友だちのなかには出かけたりしている子もいるが、出かけないで辛抱している。
彼女の職業をしっかり理解しているから、辛抱している。


4月30日
きょうで2か月。

事務所にはスタッフIが、徒歩出勤。
けっこうな距離があるのに……。

ここ数日、「ごめんなさい」ということばのことを考えていた。
「ごめんなさい」というときに、その中身はどれほどのものがあるのか。
一言の「ごめんなさい」で片付けるのではなく、自分の行為と及ぼしたであろう結果をしっかり考え、
筋道を立てて整理しておくことが大事で、そうすれば次回の「ごめんなさい」は必要なくなるかもしれない。
パートナーが話していた気がする。そのときはよくわかっていなかった。

ほぼ毎日のように謝る人生だが、「謝罪」の中身を検証しよう。
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2020/04/26

「こもれび」


4月23日
54日目
1日おきの洗濯物受け渡し27回目。
どこかで回数をまちがえたようで、ここらで修正。

久しぶりに中国人のTさんが降りてきた。
夜勤が多かったと。
新人も加わって中国3人娘になったねと話す。
早く3人並んだところが見たい。

体調は安定している。

4月25日
56日目
1日おきの洗濯物受け渡し28回目。

前回に続いて看護師のTさん。
ちょうどリハビリ中のようで、連絡ノートは
前回から変わっていない。
待っているので、ノートに書いてもらってほしいと頼む。

しばらくして、リハのNさんが走ってきた。
伝えたほうが早いからと、降りてきてくれた。
きょうは痰が多く、むせては吸引を繰り返し、
病室で車椅子に移ったが、リハ室には行かれなかったと。
目は開かず。
吸引してないから、会えるようになってできるかな。
とにかく不器用自慢。

当初1か月の面会制限の予定が1か月半になり、4月末で2か月。
いまのところ5月6日予定だが、解除にはならないだろう。
気管切開して酸素につながれている患者がコロナになったら……。

いまの日本のやりかたでは、長期戦にならざるを得ない。

去年5月に数時間家に帰ってきた。
今年も5月に帰宅を考えていたが、帰るどころか会うこともままならない。
夏はだめ、冬もだめ。季節と体調の両方がうまくいくときでないと。

友人のMさんにお願いしていた版画が届いた。
先の見えない状況のなかで、病棟のスタッフに希望を感じてもらえる作品を作ってほしいと。

「こもれび」
2羽の鳥はナイチンゲール。
限定2部。1部は病棟に。1部はSolaに。

受け取ってしばらく涙が止まらなかった。
ありがとう。

月曜日に、手紙とともに届けよう。

4月26日
久しぶりに妹と電話で話す。

彼女から、新型コロナ肺炎が、最初に「サイレント(無症候性)低酸素症」という
酸素欠乏を引き起こすことがわかってきたという話を聞く。
新型コロナ肺炎の場合、酸素量が低下しても、息切れを感じないまま、
あっというまに酸素濃度が低下し、重い肺炎になっていく。
正常な酸素飽和度は94%から100%なのに、酸素飽和度が50%にまで低下していた例もあると。
50%といったら苦しくてどうにもならないはずなのに、一見さほど苦しそうではないという。

母のために、家庭用のパルオキシメーターを送ってくれると。
朝晩の体温測定とともに、血中酸素濃度を測る。急激な低下があったら速効で病院へ。

IMG_0694.jpg

「こもれび」

2020/04/22

楽しみは待つ

4月21日
52日目
1日おきの洗濯物受け渡し29回目。

先週はタブレットで顔を見られなかったから
きょうは見られるか。

眼科の受診に2回ほど同行してくれた
看護師のKさんに聞いてみたが、人手不足のよう。
病院の車に乗って、眼科の外来に行ったことが
遠いむかしのように思える。

すこし待っていたら、動画を撮ってきてくれた。
耳元でICレコーダを聞かせると、瞬きはするが開かない。
動画から機械をとおした自分の声を聞く。
みょうな感じだ。
まあまあ元気そう。

現在進行形で仕事をしているヒトから
「寒気がするから、とにかく校正を送る」と
夜中にメールが来た。
翌朝はなんでもなかったと。


4月22日
Fさんから届く日々の手作りの絵葉書、
子どもの絵にトルコ語が添えられている。

トルコの知人から「短い」メールが来るそうで、
喜びとともに「課題がきた」という緊張が走ると。

語学を学びはじめのころのわくわくした感じが好きだ。
英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語……中国語。
どれも中途半端で使い物にならない。

すこし時間にゆとりができたら、中国語を学びたい。

「Sola1冊の本プロジェクト」のメンバーには、
英語、トルコ語、ペルシャ語、ヘブライ語、中国語……
の強者が肩を並べている。

次回のプロジェクトは
『空猫アラベラ』刊行記念! 「猫の本」大集合!
それぞれのお気に入りの「猫の本」を持ち寄る。
日本語でなくてもどんな言語でもOK。
オランダ語とスウェーデン語のゲストを予定している。

楽しみは待つ。
2020/04/20

みな伸び放題

4月17日
48日目
1日おきの洗濯物受け渡し27回目。

腰痛ベルトを付けて、散歩もできるようになった。
左足首は、まだ本調子ではない。
しばらくかかりそうだ。

今週はリハやケアに入ってもらったときに
目を開けることがあったようだ。

久しく目を開けたところを見ていない。

お風呂に入るたびに、足湯してないなと。

なぜ猫は洗い立てのシーツや
干したばかりの布団がわかるのか。
ふと見ると側にいて、また見るとのっている。


4月19日
50日目
1日おきの洗濯物受け渡し28回目。

Nさんが、これからのリハ予定を連絡ノートに
書いてくれていた。
昨日リハ室で撮った写真が2枚、はさまれていた。
土曜日は雨で外には出られなかったようだ。
目はつぶっているけれど、元気そう。
髪はスポーツ刈り? が伸びてパンクヘアに。
髪が立っている。
このまま5月に突入する。
患者さん全員髪が伸びている。
想像するとすこし笑えた。

腰痛ベルトなしで、散歩に。
新緑がまぶしい。

2020/04/15

強く美しく

4月15日
46日目
1日おきの洗濯物受け渡し26回目。

1日目90度
2日目45度
3日目のきょうは20度くらいで歩ける。

入院費の支払いを済ませ、
毛布とタオルケットも交換。

体調は安定している。

病院の受付にコンビニレジ前透明カーテンのようなものを付けるのか、
何やらわさわさしている。

友人のAさんは、昨年12月に愛猫を亡くした。
我が家の庭に突然現れて、パートナーから離れず、
やむを得ず緊急保護した雌のキジ猫。
Aさんに引き取られ、蝶よ花よと大切にされて、
最期までAさんと一緒に過ごした。

3月に『空猫アラベラ』をAさんに送ろうか迷った。
まだ早いかもしれない。

最近、Aさんが保護ネコの会から、3歳の雌猫を引き取ったことを知った。
エイズ陽性で一頭飼いで大事に可愛がってくれるヒトにと。

彼女自身が元気で猫を看取ることができるうち、
1匹でも保護猫に家を提供したいと。
強いことは美しい。

『アラベラ』を贈った。

2020/04/14

荒天荒天荒天

4月13日
44日目
1日おきの洗濯物受け渡し25回目。

荒天荒天荒天。
朝方、庭まわり作業の途中
ぴきっ
左腰に違和感。
なんとか玄関までたどり着いて
エビ形でじっとする。
立てなかったらどうするか、などぐるぐると考える。
しばらくしてもぞもぞ動き、
腰を90度にして歩けた。
湿布を貼ってベッドに行き、横向きでしばらく寝る。
なんとか歩けるし、椅子にも座れる。
安静にしていれば大丈夫そうだ。

そろそろと病院へ。
中国人のRさんが新人の中国人のJさんと
いっしょに降りてきた。

Rさんが連絡ノートに書いてくれた中国の文章を
二人の前で読まされる。
もっと中国語を勉強したい。


4月14日

こういう時期は体の弱いところにしわ寄せがくる。

左腰は悪化はしていない。
45℃くらいで歩ける。
Sさんが送ってくれた湿布は優れもので、
中央がパキッと剥がれて貼りやすさ抜群。
また送ってとねだる。
Sさんは家族のことで大変なのにわたしにたかられて災難。

手作りの絵葉書のFさんから
「手描きのしおり」が届く。
うれしい。すてき。さっそく使う。

命の電話、命の絵葉書、命の湿布に感謝。

先日、宅配便を受け取るとき、スマホにサインしてくれと
若者がポケットから取り出し差し出されたスマホの画面が
あまりに汚れていて一瞬固まった。
サインして戻したが、言葉に詰まってしまった。
いま、宅配便が止まったらわたしの仕事は回せないし、
生活にも支障が出る。
本当にありがたいと思っている。
あのとき、手持ちのアルコールウエットティッシュを1箱
渡さなかったのか。一時しのぎかもしれないけれど、
「よかったら使ってください」
が言えなかったのか、悔やまれる。

パートナーだったら、渡していただろう。
彼は配達のひとたちにつねに礼儀正しく相手の身になって接していた。
彼はだれに対しても態度を変えない。

わたしは忙しいとぞんざいになったり
ひとを見て態度が変わってしまったりするのに。

突然いなくなったから、
何度か「どうされたのですか」と聞かれた。


2020/04/12

それぞれのフィールドワーク

4月11日
42日目
1日おきの洗濯物受け渡し24回目。

14時30分、駐車場に到着。
玄関が正面に見える位置にとめる。

午後から雲が出てきた。
気温もすこし低めだ。
車の窓を開けて、しばらく待つ。
雲の切れ目から時折日が射す。

時間切れになったので、ロビーに向かう。

金曜日のカンファレンスで主治医が
いまの状況が5月6日で緩和されるとは到底思えないと。

4月12日
朝方雨があがる。

このところAmazonの「置き配」を利用している。
事務所のドアの前に何やら立てかけてあった。

友人のOさんからだ。
「ここではない場所、でも近くて、そして美しい。
そんな風景をみる時間があってもいいと思います」
というメッセージが添えられていた。
『Before They Pass Away 彼らがいなくなる前に』
写真家ジミー・ネルソンが世界各地の失われつつある
民族の生活や文化を肖像として撮影した写真集。
これから出かけてみよう。

2010年の構想から10年かかってようやく「フィールド科学の入口」
という10冊シリーズが完結する。
科学の各領域のフィールドワークの具体的手法を示すことで、
それぞれのフィールドワークが互いに関連していることを
表したい。科学は単独で成立するのではなく相関していることを
示したい。果たして示せたのか。

5月連休明けに見本予定だが、この状況では遅れるかもしれない。
ICレコーダに「ようやく終わるよ」と報告した。

わたしの本作りは同じテーマを繰り返しさまざな表現手段を用いて
作り続けていくことなのか。
2020/04/10

いまを大切にしたくても

4月9日
40日目
1日おきの洗濯物受け渡し23回目。

新任の看護部長のMさんにご挨拶。
病棟の看護責任者Oさんが降りてきてくれ、
タブレットで顔を見る。
目は閉じたままだが、声かけにまぶたがぴくぴくと動く。
見られるときはできるだけ見たい。

Solaの新刊絵本『まきばへ』(文と絵 すがぬまみつこ)
をこのまえ床頭台に置いてもらった。
『まきばへ』のポストカードをスタッフに進呈。

5月6日まで面会制限延期。

4月10日
41日目

きょうはカンファレンス。
主治医、作業療法士のTさん、看護師のSさんから
パートナーのようすを聞く。
毎日会えていたときは「しってるもん」みたいなところがあったが、
きょうは一言も聞き漏らすまい、という感じだった。
パートナーと日々会っているヒトの言葉はいまいちばん必要な栄養のよう。

体調はほぼ安定しているが、呼吸がだんだんと弱くなっていると。
脳に障害があって寝たきりの状態が続いているので、
体の機能がすこしずつ衰えてくるのは仕方がないこと。
突然呼吸が止まることもないわけではない。

週3日のリハビリ時、ベッドに座っているときに開眼することもあると。
首や顔まわりのマッサージもおこなってくれている。
関節や爪や褥瘡なども問題なし。

痰は相変わらず多めだが、3月は安定している。
面会制限前に渡したケアメモを病室にも貼って、
みなでケアを心がけていると。
Sさんが「わたしが書きました」とノートデビュー!
うれしかった。
「会わせてあげたい」という言葉に泣きそうになる。
アブナイアブナイ。

カンファレンス終了後、きょうもタブレットで顔を見る。

昨年6月から目を開けることも多く、上向きだった体調が、
今年1月の正月明けの発熱から小康状態に。
目を開けなくなった。

ほぼ毎日ベッドに座っていたのが、いまは週3日。
足湯もしばらくできない。

あとどれくらいの時間が残されているのか、わからない。
パートナーとのいまを大切にしたいのだが、そのいまに手が届かない。

また明日会いにいく。


2020/04/07

だからだから

4月7日火曜日
38日目
1日おきの洗濯物受け渡し22回目。

療養病院であっても、日ごとに緊張の度合いが高まっている。
いわんや感染した患者を受け入れている病院はどれほどのことか。
防護服を着た医療従事者にどれほどの補償があるのか。

きょうはすこしやりきれないことがあって、
病院の駐車場に停めた車のなかで泣いた。

パートナーが倒れてから、前の車のなかでも今の車のなかでも
じつによく泣いている。
場所はたいてい病院の駐車場。
2016年11月が第1回か。
「意識が戻らない」と医師から告げられ号泣。
泣きながら妹に電話をした。

このところは電話の相手はもっぱらMさん。
迷惑かけていると思う。
ありがとう。

パートナーの体調は保たれている。
熱もないし、バイタルも安定している。
だからだから。
2020/04/06

気づくとあっ6日

4月5日日曜日
36日目
1日おきの洗濯物受け渡し21回目。

面会制限中の日曜日の病院は
ロビーにひとけがなくがらんとしている。

タブレットに期待したが、操作できるヒトが
平日しかいないと言われがっかり。

左足首を挫いたと書いたら、
Sさんから湿布薬が届いた。ありがとう。
足首は回復している。

このところの日々の楽しみは、
Fさんから届く手作りの絵葉書だ。
絵のテーマは子どもの顔の練習とトルコ語の勉強。
宛名面に描かれたペン画もわらってしまう。

きょうから本作り空Solaのスタッフを自宅勤務に。
パートナーが早い時期から外部とのデータのやりとり用に
サーバの設定を導入していたので、仕事は回せそうだ。
けーさんはエライ。

3月は時間が鉛のように重く淀んでいた。
4月になってからはすこし早く感じる。
3月は1日1日カレンダーに×を付ける日々。
4月は×を付けるのを忘れて、気づくとあっ6日。

中国語の添削をしてくださったかたが。
すばらしい。日々勉強。

中国語の「痛情」はおそらく「疫情」ではないかと思います。
「冉里」は、「里」の一文字だったら、意味が通じますが、「冉」はここにあると……
意味がわからないですね……
2020/04/04

タブレット越しに

4月3日金曜日
34日目
1日おきの洗濯物受け渡し20回目。

今週のリハは月・水・金。ふだんは土曜日が車椅子だから
もしかして金曜日に車椅子かも。
しばらくロビーで待とう。

洗濯物を受け渡し、連絡ノートを見る。
中国人のRさんが中国語で書いてくれていた。
ありがとう。

今天早上的时间段冉里,偶而能看到开眼。
下午使用了指甲油。通过声音的刺激会有细小的反应。
希望这个痛情早点结束,你们可以早点相见。

看護責任者のOさんの姿を見かけ声をかける。
このところ毎週のように会議を開いて対応を検討していると。
おそらく15日に解除は難しいと話す。

タブレットを導入したので、いま試してもいいと。

Oさんがいったん病棟にあがる。
ちょうどリハのNさんとリハビリ中のよう。

ふたたびOさんがタブレットを持って降りてきた。

画面越しに啓治が見えた。
ベッドアップして座っている。
目は閉じている。
久しぶりの病室。「まりーちゃんとひつじたち」の人形も見える。
大声で「けーさんけーさん」と叫ぶ。
まぶたが動いたと。

爪が心配だというと、
Nさんが手をアップに。
足のウラと爪は? 靴下を脱がせて足ウラと足のアップ。
リハビリのジャマになるので、早々に終了。

しばらくロビーに座っていたら、
Nさんが走ってきた。

家族が来ているのがわかると、ロビーに降りては来られない。
それはそうだ。

来週の土曜日は天気と体調しだいで外に行くかもしれない。

そのとき駐車場で偶然会うかもしれない。

車のなかで待機しよう。11日よ、晴れてくれ、穏やかであってくれ。

自宅に戻って、家の駐車場で転んだ。
左足首がギクッとなって、真横に倒れた。
しばらく横になったままじっとしていた。
起き上がり、石段にまたしばらく座っていた。
歩けそうなので、家に入る。
湿布をしてようすをみよう。


4月4日土曜日
足首付近は腫れているが、痛みはすこしひいた。




2020/04/01

花桃

32日目
1日おきの洗濯物受け渡し19回目。

今日の担当看護師は中国人のRさん。
わたしのWeChat(微信)のIDをメモして
あとで送ると。楽しみだ。

洗濯物を受け渡し、爪のケア用に新しいオイルを渡す。
患者や看護師の声を聞いて開発した「爪まわりの保湿オイル」
を購入してみた。成分はラシケス+スクワラン+ツバキ種子オイル。

ICレコーダに『空猫アラベラ』を録音しておいたら、
介護のIさんが聴かせながらケアしてくれ、
「わたしも好きです」と。

リハのNさんが、3週目までのリハ予定日を連絡ノートに書いてくれた。

別の家族に洗濯物を届けにきた看護師のKさんとも立ち話。
「わたしも聴いていますよ」と。

東京での感染者数が増えていることに三者で怖がる。
Rさんは寮で徒歩、Kさんは車通勤。
「スーパーにしか行かないけど怖い」と。

「そういえば土曜日は会えましたか?」
「だめだった」

「また来てください」
と言われなぜか明るい気持ちで玄関に向かった。

すぐ近所にだいぶ朽ちてきた住居がある。
いつもは素通りするのだが、何か目にちらつくものが。
建物の奥のほうに庭があり、花桃が咲いていた。
朽ちた住居と荒れた庭と満開の花桃。

中国の児童文学作家、湯湯の作品《緑藤紅藤》を思い出した。
古いお屋敷に住む藤の木の精の物語。
湯湯の作品は切ないけどあたたかい。