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2017/10/23

西荻窪の思い出

友人の藤原ヒロコさんから彼女が装画を描いた『猫返し神社』(山下洋輔 徳間文庫)
をいただいた。


猫返し_convert_20171022233553


藤原さん宅にはネコ4匹、わが家にはネコ2匹。まあネコ好きの部類に入るだろう。
しかし、しかしだ、そんな生半可なものではなかった。
飛鳥新社のHPに4年にわたって連載されたブログに加筆し書籍化されたものを文庫化、という本書の内容をここで紹介するのは差し控えるが、とにかく「濃い」ということだけはお伝えしておく。濃厚な世界に浸りたい方にはぜひお薦めしたい。

山下洋輔という響きはじつに久しぶりで、懐かしい気持ちになった。
山下洋輔からジャズドラマーの古澤良次郎さんを思い出した。
いまどうしているのかと検索したら、なんと2011年に亡くなっていた。
65歳だったと。まだ若かったのに。
http://www.nes-pa.com/furusawa/

古澤良次郎さんは、西荻窪のOAKという喫茶店や西荻窪ロフトというライブハウスに
静かに座っていた。
音楽を聴いているのかな、と思って見ているとどうも寝ているみたいなこともあった。

わたしはどうにもならない高校生だった。もう時効だろうから白状する。
夜な夜な「夜ヌケ」と称してベッドに「ひとがた」を作り、
2階のベランダを伝って1階に降りる。
そこから歩いて西荻窪ロフトに向かう。家から西荻窪までバスで10分くらいの距離だ。
で、ロフトで何をするでもなく友だちになった人たちとだらだらしたり、
散歩をしたりして夜を過ごした。そして、明るくなる前に家に戻ってくる。
なにが楽しかったのかわからない。単なるバカかもしれない。
夜起きているものだから、当然朝起きられず寝坊して、遅刻の常習犯となる。

古澤さんはそんな夜遅くにはいない。学校帰りにも制服で西荻をぶらつく。
古澤さんはそんなときに静かに座っているのだ。

高校時代のわたしはジャズが好きだった。新宿、渋谷、四谷、横須賀のジャズ喫茶に出かけた。
いっときフリージャズにはまり、阿部薫の『なしくずしの死』をくり返しリクエストしてた。
阿部薫は1978年に29歳で夭折したサックス奏者。
間章のことは当時雑誌かなにかで知ったのだろう。
『非時と廃墟そして鏡 間章ライナーノーツ1972-1979』(深夜叢書社)
を購入したのは、社会人になってから。
いまでも書棚の残っている本だ。間章も1978年に32歳で亡くなっている。

四谷のジャズ喫茶にも学校帰りに制服で寄った。
数年前、たまたまその店の前を通ったので入ってみた。
帰り際にふと高校生のころ制服で来ていたという話をしたら、
珍しかったのか、店主が覚えていた。

ジャズを聴かなくなってどれくらいたっているだろうか。
雨が強すぎる。
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