2017/08/19

井上洋介画集のこと


『井上洋介絵本画集1931-2016』と『井上洋介獨画集1931-2016』が玉川大学出版部から刊行され(8月20日)、ちひろ美術館・東京で、奇喜怪快「井上洋介の絵本展」が開催される(8月24日〜11月5日)。

井上洋介先生との仕事は幼年童話1冊だけで、あとは先生の絵が好きで、毎年「猫めくり」というカレンダーを一方的にお送りする勝手に「猫友」だったり、たまに何かの展覧会にご一緒したり、先生の個展やお宅にうかがったりするという感じだった。一昨年、先生との絵本の企画(テーマ:土偶)がようやく決まった。10月にお宅にうかがう予定がこちらの事情で延期になり、ひとまず土偶の資料をお送りした。
「土偶のもつ力を眺めています」というお葉書をいただいたまま、お目にかかることができなかった。いまもその葉書は手帳にはさんだままだ。

井上洋介先生は2016年2月3日に84歳でお亡くなりになった。
2016年4月7日に、浅草の釜めし春で「井上洋介と春の闇を喰べる会」という会が催された。
洋介先生とご縁のあった方々が集い、縁の品を喰べる会の末席で、
ご縁の深かったみなさんのお話をじーっとうかがっていた。

いつのことだったか、記憶の糸が切れっぱなしなので、思い出せない。
先生のアトリエで、タブローを見せていただきながら、
「先生、この絵の記録をとっておいたほうがいいですよね」
「どこかの美術館が動いてくれるといいですね」
となんとも無責任なことを言いながら、「記録に残せたらいいな」と一瞬強く思った。
その後、刈谷市美術館に絵本の原画(一部タブロー)が収蔵されたが、
タブロー作品の多くはご自宅に保管されていた。

何もしないまま時間が過ぎていった。

「井上洋介と春の闇を喰べる会」の会場で、井上洋介先生のご長女の井上真樹さんに
「先生のタブロー画集を企画したい」とお伝えしたところ、ご了解いただくことができた。

そんな折りに、ちひろ美術館から洋介先生の回顧展を企画されているという話があり、
タブロー画集のほかに、絵本画集もあわせて企画することになった。

玉川大学出版部の森貴志さんのおかげで、2冊の企画を実現することができた。

2冊の編者は、土井章史さんしか考えられなかった。
土井さんとは仕事をご一緒したことはなかったが、2015年9月に長野県信濃美術館で開催された「横井弘三の世界展」の帰り道にご挨拶させていただいた。
車中で下戸のわたしにビールを振る舞ってくださった。

ちひろ美術館のみなさんのおかげで、ご自宅の絵本原画、タブローの調査をおこない、
タブロー撮影のために、土井さんがトムズボックスの社運をかけた「井上洋介没後1周年大誕生会」を四谷のアートコンプレックスセンターで開催してくださった。
会期中に、白石ちえこさんが厖大なタブローを撮影してくださった。


至らないことだらけで周囲に迷惑をかけながら、
こうしたみなさんやそのほかたくさんの方々のおかげで、
なんとか2冊の画集ができあがった。
ありがたいことだ。

海外にも先生の作品を知ってもらいたい、という思いから、英文を併記した。

洋介先生の作品をできるだけ多くの人に知ってもらいたいと、強く思う。

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2017/08/12

アタシの草履

わが家の2匹きょうだいネコの1匹あき恵は、
ふと気づくと、ヒトが履いていたり、着ていたりしたものの上に乗っている。
よそのヒトの服でもおかまいなし。
とくに好きなのは、スリッパ系。わたしの草履がお気に入りだ。IMG_0204_convert_20170812005722.jpg



2017/08/08

メガネは敵!

わが家には11月で2歳になるきょうだいネコが2匹いる。
クロネコの「た助」と、サビネコの「あき恵」。

先代のきょうだいネコ「ぼちゃ彦」と「こ太郎」は、
2013年と2014年に22歳と23歳の大往生。
なついていた外ネコの「とも」が2015年11月の初めに突然旅に出てしまい、
「触れるネコゼロ状態」に耐えることができなくなったわたし。
パートナーとともに、保護ネコ団体からノラの子2匹を譲り受けた。

ちなみにわが家のネコの名前は、パートナーが付けている。

日々興味深い性格を見せてくれる2匹だが、本日は、た助編。

メガネは敵!

このところ老眼が進んで、メガネをはずすことが増えた。
なにげなくメガネをはずして、机の上に置いていると、どこからともなくた助がやってくる。
で、メガネを突っついて、下に落とすのだ。なぜだ。

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2017/08/05

自らに

昨日のスタッフブログ「すきまの空」を読んで、堀口大學の詩を思い出した。
高校生のころに愛読していた。

「夕ぐれの時はよい時」 『月光とピエロ』 堀口大學

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

それは季節にかかはらぬ、

冬なれば煖炉のかたはら、

夏なれば大樹の木かげ、

それはいつも神秘に満ち、

それはいつも人の心を誘ふ、

それは人の心が、

ときに、しばしば、

静寂を愛することを

知つてゐるもののやうに、

小声にささやき、小声にかたる……

夕ぐれの時はよい時、

かぎりなくやさしいひと時。

若さににほふ人々の為めには、
それは愛撫に満ちたひと時、
それはやさしさに溢れたひと時、
それは希望でいつぱいなひと時、
また青春の夢とほく
失ひはてた人々の為めには、
それはやさしい思ひ出のひと時、
それは過ぎ去つた夢の酩酊、
それは今日の心には痛いけれど、
しかも全く忘れかねた
その上の日のなつかしい移り香。

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれのこの憂鬱は何所から来るのだらうか?

だれもそれを知らぬ!

(おお! だれが何を知つてゐるものか?)

それは夜とともに密度を増し、

人をより強き夢幻へとみちびく……

夕ぐれの時はよい時、

かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれ時、

自然は人に安息をすすめるやうだ。

風は落ち、

ものの響は絶え、

人は花の呼吸をきき得るやうな気がする、

今まで風にゆられてゐた草の葉も

たちまち静まりかへり、

小鳥は翼の間に頭をうづめる……

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。


同じく堀口大學の「自らに」 『幸福のパン種』

雨の日は 雨を愛さう。
風の日は 風を好まう。
晴れた日は 散歩をしよう。
貧しくば 心に富まう。

パートナーとの結婚の挨拶状(当然、パートナーの手作り)に、この詩を載せた。
うーん、何年ぶりかで、思い出した。